令和2年度(2020年度)私立大学等改革総合支援事業の設問発表

令和2年度(2020年度)私立大学等改革総合支援事業の設問発表

こんにちは。きっかわです。この記事では現役大学職員が、2020年度の私立大学等改革総合支援事業について説明します。

 

2020年7月に大学宛に、私立大学等改革総合支援事業の調査票が送付されました。11月末が提出期限となっています。先日、予測という形で記事を掲載しましたが、答え合わせの記事となります。

 

令和元年度から変わったところはどこだったのか、比較してみましょう。

 

新規設問

タイプ1

・多面的、総合的評価と連動した取り組み

令和2年度入学者選抜において、多面的・総合的な評価を行っていること。また、多様な入学生が入学後に主体的に学びその能力を伸長できるように、卒業の認定に関する方針や教育課程の編成及び実施に関する方針に基づき、初年次教育の充実や柔軟な教育課程編成などの取組を実施していること。

入試で多面的・総合的評価を行うこととは、学力の3要素を多面的・総合的に評価するにあたり、各大学の入学者の受入れに関する方針に基づき、学力検査に加えて、調査書や志願者本人の記載する資料等(小論文、エッセイ、面接、ディベート、集団討論、プレゼンテーション、各種大会や顕彰等の記録、総合的な学習の時間などにおける生徒の探究的な学習の成果等に関する資料やその面談等)を評価することを指す。各資料等の評価方法等について募集要項等に明記していること。募集要項等においては、単に出願書類にとどまり、具体的な評価方法等が明示されていないものについては含まない。

 

・「数学」「情報」の試験問題を出題

新高等学校学習指導要領が改訂され、令和4 年度から「情報Ⅰ」が必修化されることを踏まえ、これに先駆けて、個別入試において文理を問わず「数学」又は「情報」の試験問題を出題することを募集要項等に明記していること。

 

・分野、学部横断的カリキュラムの実施

「リベラルアーツ教育」、「STEAM教育」、「分野・学部等横断カリキュラム」のいずれかを実施していること。

STEAM教育とは…Science, Technology, Engineering, Art,Mathematics 等の各教科での学習を実社会での課題解決に生かしていくための教科横断的な教育。

 

廃止設問

タイプ2

・公募による学内研究費の配分

 

タイプ3

・地域行政への参画

 

感染症関連の影響が出たこと

・令和2年度に限り、通例で9月30日までの基準時点だったものが、10月31日までの基準時点に変更となっている。

 

という感じでした。私が予想していた通り、大きな変更はありませんでした。この事業は中央省庁において多くの合意形成が必要なので、対面での調整が制限された職員にとっては前年踏襲を多くせざるを得なかった、というのが官僚の本音ではないでしょうか。

 

本当にこの設問をクリアしていくと、独自な大学として生存し続けられるのか?と聞かれると、クエスチョンマークとなってしまいますが。ただやはり我々私立大学は、多くの組織で中央省庁からの補助がないと、赤字まっしぐらになってしまいます。もらえるものはもらう、というスタンスが肝要です。また、自分の目指す大学改革においてこの事業をエッセンスにして、「この企画やると加点になりますから、やらせてください」という学内提案に導くこともできるのではないでしょうか。

 

ぜひこの支援事業の内容に目を通して、中央省庁が「大学がどうあるべきか」と考えているのか覗いてみてください。そして、一緒に大学業界をよくするために、頭を使っていきましょう。

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