補助金(特別補助)について

補助金(特別補助)について

こんにちは、きっかわです。この記事では現役大学職員が、補助金について説明します。

 

本稿は私立大学の補助金についての話です。国立大学は「運営費交付金」という名前で補助が行われています。私立大学の補助金の正式名称は「私立大学等経常費補助金」です。「経常費」というのは、字のごとく「常にかかる経費」という意味です。大学が永続して運営されるために、国が大学運営で経常的に発生する費用の一部を補助しますよ、という意味あいです。

 

文部科学省が予算を決定した後、日本私立学校振興・共済事業団(私学事業団)に資金が拠出され、私学事業団から各大学へお金を配る流れになっています。

 

2015年度実績で3,174億円の補助金が私立大学に投入されています。補助金の原資は国民の税金です。私も払っているので気を悪くしないでください。

 

3,174億円の補助金がさらに、「一般補助」と「特別補助」の大きく2つに分けられます。特別補助は、大学独自の取り組みに応じて配分されます。今回は特別補助にフォーカスを当ててご紹介します。

 

特別補助は毎年予算額が400~ 450億円程です。2020年度においては、

 

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人口減少・少子高齢化の進行や社会経済のグローバル化を背景に、「Society5.0」の実現や地方創生の推進等、我が国が取り組む課題を踏まえ、自らの特色を活かして改革に取り組む大学等を重点的に支援する。

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と、記載されています。具体的には以下の事業があります。

 

○ 私立大学等改革総合支援事業

「Society5.0」の実現に向けた特色ある教育研究の推進や、地域社会への貢献、イノベーションを推進する研究の社会実装の推進など、特色・強みや役割の明確化・伸長に向けた改革に全学的・組織的に取り組む大学等を重点的に支援する。

 

○ 大学院等の機能高度化への支援 

Society5.0の実現、イノベーション・エコシステムの構築に向けて、基礎研究を中心とする研究力強化につながる、優秀な若手研究者や女性研究者の支援等を強化することにより、大学院等の機能高度化を図る。

 

実務としては、特別補助の回答はエクセルシートに各部署の担当がポチポチ入力していく形となっています。自由記述もあります。これで補助額が増額されるならありがたい、という気持ちで毎度取り組んでいます。

 

大学の中には補助金獲得に躍起になるパターンが存在します。特別補助の設問に「yes」と答えるために、予算をつけて事業を行ってしまう、とか。100万円もらうために200万円の事業を行う、ということがあります。

 

先行投資といえば聞こえは良いですが、大学経営にとって有益かどうかは、疑問符が付きます。コスパが悪い事が起こりやすいのが大学です。なんとか我々事務職員の手で、効率よい運営を目指していきたいものです。

 

是非これを機に補助金の仕組みを覚えて、デキる事務職員になりましょう。

 

まとめ

・大学には国民の税金から補助金が出ている。文科省から私学事業団に予算が流れて、私学事業団から各大学へ配分されている。

・補助金には大きく分けて一般補助と特別補助がある。

・特別補助は「大学独自の取り組みに対する補助」のこと。自ら他大学との差別化を図る大学を手厚く補助しますよ、という狙いがある。

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