こんにちは。きっかわです。今回は問題のとらえ方の訓練について紹介します。
2020年6月11日に集英社新書より、YouTubeでリモート対談「オックスフォード大学・苅谷剛彦×東京大学・吉見俊哉 日本の大学はどうなる?」という動画が公開されています。
出典:YouTube
動画の内容が正しいか誤っているか、ということは本旨ではありません。大学に対する提言はひとりひとり異なるべきと私は考えています。
これは大学に限らないことだと思うのですが、組織が存在する意義は十人十色で良いと考えます。高偏差値マンモス大学のように優秀な人材を受け入れ、より優秀な人材として社会へ送り出すことは、もちろん重要な使命です。
優秀な人材を大学で育てるために、大学は多くの投資を行っています。建物、機械、土地、福利厚生制度、奨学金基金、同窓会組織のコスト負担、研究促進のための学内外助成…あげればキリがありません。多くの投資をして多くのリターンを得る、大きな金額を動かしながら循環型の組織運営を行っており、教育業界、大学業界の成功事例と呼べるでしょう。
一方で、高偏差値マンモス大学のように運営できる大学は多くありません。地方小規模の大学は、補助金も少なく、学納金収入も少ない、コンパクトな大学においては、コンパクトな大学としての兵法で運営せざるを得ません。では、この大学は良くない大学なのでしょうか。私はそう思いません。
地域にとって大学は珍しい存在です。大学の中で直接モノが買えたり、サービスを多く享受できることは多くないですが、町に若者が集まり、大学教員という知識人層が集まり、事務や清掃や警備など雇用を生み出します。また町で買い物をする消費者が増えたり、昼間人口が増えるので治安が少し良くなったり、少なからず自治体に良い影響を与えます。
きれいごとではなく、地域に根付いている大学は多いです。市役所や町役場との関係も、思いのほかクリーンです。仕事は契約に基づき行われます。
文部科学省の方針はどうでしょうか。HPを見ると、私立大学等経営強化集中支援事業という助成を行っています。額は小さいですが、中央省庁が小さな大学を守る動きがあり、ありがたい限りです。
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002/002/1367019.htm
さて、オックスフォード大学と東京大学の対談の事例に戻ります。両大学とも、マンモス大学です。若者が目指したい大学に位置付けられています。ここで大学職員である皆さん、大学職員を目指す皆さん、大学業界に興味がある皆さんは、この対談に対してどういうとらえ方をすればよいのでしょうか。
ある方は「さすがトップレベルの大学だ。わが大学もマインドを真似しよう」と思うでしょう。ある方は「そんなこと言ってもうちのような小規模大学では毎日の業務をこなすだけで精いっぱいだよ」と思うのでしょう。ある方は「ふーん」と思うでしょう。
すべて間違いではないです。大切なことは「こういう考え方もあるのだな。自分の糧にしよう」と思うことです。
たとえば学生の対応で問題点が生まれたとします。その時、問題を解決するための思考回路は、多くの道からアプローチできるように頭がされているでしょうか。「前任者はこうしていた」という思考は、誰もが一番に浮かぶものではないでしょうか。
ここで、オックスフォード大学と東京大学の対談を思い出して、「あの対談ではこんな考え方で問題解決についてアプローチしていたな」という思考ができる方は、選択肢が増え、解決方法A、B、C・・・と複数の思考ができる癖がつきます。多面的アプローチタイプとも呼びましょうか。一面的アプローチタイプと分けられます。
多面的アプローチ思考の癖がある人とない人では、将来の成長幅が大きく変わってきます。多面的=二次関数的(時間の2乗の伸び)な成長曲線、一面的=一次関数的(時間に比例)な成長曲線、といったイメージです。
対談を視聴したか否か、という切り口だけではなく、「文科省の各種通達を読み込んでいるか」「書籍を自発的に読み、自分事に反映しているか」「ミーティング時の上長の連絡を単なる伝達事項として処理してしまっていないか」など、日々の生活で多面的アプローチを導入するシーンはたくさんあります。タイトルにある「問題のとらえ方」とは、このアプローチ方法のことをお伝えしたく、ブログに書くことにしました。
ぜひ多面的アプローチをご自身の毎日の生活に取り入れて、正しいベクトルで自身を成長をさせていきましょう。