こんにちは、きっかわです。この記事では現役大学職員が、学部を新たに設置する時の手続きについて説明します。
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ninka/1368921.htm
このリンクに、大学設置認可に関わる手続きの詳細が記載されています。
2022年に新たな学部を設置したいのであれば、2020年の10月に申請を行い、2021年の8月に認可されるよう必要書類をそろえる必要があります。
認可されるためには多くのクリアすべき項目があり、大学設置基準などに一部の項目が記載されています。関係法令は多く、学校教育法、学校教育法施行令、学校教育法施行規則、学位規則、などを参照しながら、様式を埋めていくことになります。
部長クラス、事務局長クラス、理事クラスの権限でないと学部を新たに設置する構想を考えたり意見を述べたりする機会はないと思いますので、事務職員は規則に定められた通りに書類を作成していくことが、大学への貢献としても最善となるかと思います。
頑張るところは、認可後の広報や教員との調整業務が主になってきます。学部の第1年度、パイオニアとなれる瞬間ですので、担当部署になった際は、誇りを持って業務に邁進できることでしょう。うらやましいです。是非経験値を貯めてください。
少し話はそれますが、大学は広告を良く打ちます。「新学部設置」という広告を見ることが多いと思います。学部を増やそうとする大学が多いのはなぜでしょうか。想像はたやすいと思いますが、学納金収入を増やすためです。学校法人は公益のために存在しているとはいえ、理事長は経営者です。儲からないことはやらないですよね。
私立大学は国公立大学に比べて学費が高いのは周知の事実です。学校法人経営者はよく「国公立大学は収入の4割を国からの補助に頼っている。私立は1割だ。補助金をもっともらえれば学費を下げれる」なんてことを言います。
一部正解ですが、一部不正解です。
うちの大学は補助金が1割から2割に増えても、学納金は減らさないです。利幅が減るのを嫌うからです。
学納金から経費(人件費や研究費など)を差し引いて、利益が出ます。学校法人は利益を出しています。良い事悪い事の話ではなく、事実です。私は給料をもらっています。これからも給料が欲しいです。だから一生懸命働くし、学生にどんどんうちの大学に入ってきてほしいし、大学の規模を大きくして利益を出す組織にしたいです。
学校法人という組織は、営利と公益の絶妙なバランスを取り続けなければならないので、大変ですがやりがいはあります。
いま、大学で働いている皆さんは「こんな施策は学生のためにならない」という状況に出くわすことが、多くあると思います。私もあります。でもそこで「うちの大学だめだな」と話を終わらせるのではなく、職場の方と発展した議論をしましょう。
「この施策をすると○万円分の損失がある。私の考える案は△円の利益を大学にもたらせると考える。だからこの案をやらせてほしい」という交渉をできる人材になれば、上司も皆さんの考えを尊重してくれるはずです。少なくとも「こいつは大学のことをちゃんと考えているんだな」と評価してくれます。
「面倒なことばかり言ってくるのは困る」という反応を見せる上司だったら、見限りましょう。上司の上司へ話を持っていく根回しをしましょう。
私は結構やってます。就職活動で問われた「コミュニケーション能力に長けた存在を必要としている」という言説は、このためだったのかなと今更実感しています。
学部設置の話から結構それましたが、現在20代~40代の方々は、職場に多くの成長チャンスが転がっているはずです。ぜひ新しい動きを取り入れて、より良い社会に出来るよう共に頑張りたいですね。
まとめ
・新たに学部を設置する手続きは、淡々と行う。認可されてからが実力の発揮しどころ。
・「学生のため」という論調でなく、「利益の最大化」の視点を交えて同僚と議論しよう。