大学設置基準

こんにちは、きっかわです。この記事では現役大学職員が、大学設置基準について解説していきます。

企業勤めの方だったり、学生の方だったら、絶対聞いたことないですよね。大学設置基準。造語じゃなくて、法律に基づく「省令」です(省令とは…法律の委任に基づいて発する命令)。

どんなことが書かれているの?

大学設置基準は以下のような章立てになっています。

~~大学設置基準~~
第一章 総則(第一条―第二条の三)
第二章 教育研究上の基本組織(第三条―第六条)
第三章 教員組織(第七条―第十三条)
第四章 教員の資格(第十三条の二―第十七条)
第五章 収容定員(第十八条)
第六章 教育課程(第十九条―第二十六条)
第七章 卒業の要件等(第二十七条―第三十三条)
第八章 校地、校舎等の施設及び設備等(第三十四条―第四十条の四)
第九章 事務組織等(第四十一条―第四十二条の三)
第九章の二 学部等連係課程実施基本組織に関する特例(第四十二条の三の二)
第十章 専門職学科に関する特例(第四十二条の四―第四十二条の十三)
第十一章 共同教育課程に関する特例(第四十三条―第四十九条)
第十二章 工学に関する学部の教育課程等に関する特例(第四十九条の二―第四十九条の四)
第十三章 国際連携学科に関する特例(第五十条―第五十六条)
第十四章 雑則(第五十七条―第六十条)
~~

大ボリュームです。でもこれを覚えれば「私は大学職員です」と胸を張っていられます。もちろん、私は全部覚えていません。だって難しいんだもの。

コツコツと、業務をこなしながら、自らの実践事例を交えながらインプットしていきましょう。

では、1章ずつ、読み解いていきましょう。できる限り平易な言葉で書いていきますね。

第一章 総則
(趣旨)
大学設置基準は学校教育法を中心とした規定による省令です。この大学設置基準をクリアすることは最低限の水準ですよ。水準は各大学の努力で引き上げてくださいね。
(教育研究上の目的)
大学は、学部、学科又は課程ごとに、人材の養成に関する目的その他の教育研究上の目的を学則等で定めてくださいね。
(入学者選抜)
公正かつ妥当な方法により、適切な体制を整えて行ってくださいね。
(教員と事務職員等の連携及び協働)
大学運営は、教員と事務職員等とで役割分担をして、協力して働きましょうね。

第二章 教育研究上の基本組織
(学部)(学科)(課程)
大学は、教育研究の必要に応じ学部を置くことが出来ます。学部は教育研究上適当な規模内容を有し、教員組織、教員数その他が学部として適当であると認められるものとしてくださいね。履修の内容に応じて学部→学科もしくは学部→課程を組織していいですよ。

(学部以外の基本組織)
学部以外の組織を作ってもいいですよ。ただし以下の条件を満たしてくださいね。
一 教育研究上適当な規模内容を有すること。
二 教育研究上必要な教員組織、施設設備その他の諸条件を備えること。
三 教育研究を適切に遂行するためにふさわしい運営の仕組みを有すること。

この組織の専任教員数、校舎の面積及び学部以外の基本組織の教育研究に必要な附属施設の基準は、専門職学科、共同学科、国際連携学科に準じます。

※適当、という言葉が出てきますが、適当(ふさわしい)かどうかを決めるのは、文部科学省です。学部を新たに設置する際に諮問されます。

第三章 教員組織
(教員組織)
大学は、研究目的を達成するために教員を置いてくださいね。教員には役割分担をして、責任が明確になるように組織を作ってくださいね。教員の年齢が偏ることのないよう配慮してくださいね。大学は、キャンパスが複数ある時、それぞれのキャンパスごとに必要な教員を置いてくださいね。各地で専任の教授又は准教授を少なくとも一人以上置いてくださいね。キャンパスが隣り合わせの時は、置かなくてもいいよ。
(授業科目の担当)
大学は、主要な講義についてはなるべく専任の教授、准教授、講師又は助教に担当させてね。、演習、実験、実習又は実技を伴う授業科目については、なるべく助手に補助させてね。
(専攻分野における実務の経験及び高度の実務の能力を有する教員)
専攻分野におけるベテラン(おおむね五年以上で実務の力高い)教員で、かつ年6単位以上の授業科目を担当する場合には、この教員が教育課程の編成について責任を担うこととするよう、大学が定めてね。
(授業を担当しない教員)
大学には、教育研究上必要があるときは、授業を担当しない教員を置いていいよ。
(専任教員)
教員は、専任教員として所属できるのは一つの大学だけだよ。所属している大学でゴリゴリ研究してね。大学は研究以外の業務をする人を、大学の専任教員としてもいいよ。
(専任教員数)
専任教員の最低数は「別表第一」という表と「別表第二」に書いてあるので、学部の種類、大学全体の収容定員に応じて変わるから、教授などの数が最低数以上になるように守ってね。

第四章 教員の資格
(学長の資格)
学長には「人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学運営に関し識見を有すると認められる」人が、なることができるよ(こんな客観性のない文面の省令、初めて見ました)。
(教授の資格)
教授になるには以下の中からどれか一つを満たす必要があるよ。
一 博士の学位(外国OK)を有し、研究上の業績を有する者
二 研究上の業績が前号の者に準ずると認められる者
三 専門職学位(外国OK)を有し、当該専門職学位の専攻分野に関する実務上の業績を有する者(専門職学位とは、学位規則(昭和二十八年文部省令第九号)第五条の二に規定されているもの。深く考えなくてOK)
四 大学又は専門職大学において教授、准教授又は専任の講師の経歴(外国OK)のある者
五 芸術、体育等については、特殊な技能に秀でていると認められる者
六 専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有すると認められる者
(准教授の資格)
准教授になるには以下の中からどれか一つを満たす必要があるよ。
一 教授条件のいずれかに該当する者
二 大学又は専門職大学において助教又はこれに準ずる職員としての経歴(外国にOK)のある者
三 修士の学位又は学位規則第五条の二に規定する専門職学位(外国OK)を有する者
四 研究所、試験所、調査所等に在職し、研究上の業績を有する者
五 専攻分野について、優れた知識及び経験を有すると認められる者
(講師の資格)
講師(という職位があります。准教授の次に偉い)になるには以下の中からどれか一つを満たす必要があるよ。
一 教授または准教授となることのできる者
二 その他特殊な専攻分野について、大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者
(助教の資格)
助教になるには以下の中からどれか一つを満たす必要があるよ。
一 教授または准教授または講師となることのできる者
二 修士の学位を有する者(医学、歯学、薬学6年、獣医学を履修する課程を修了した者については、学士の学位)、または学位規則第五条の二に規定する専門職学位を有する者(外国OK)
三 専攻分野について、知識及び経験を有すると認められる者
(助手の資格)
助手になるには以下の中からどれか一つを満たす必要があるよ。
一 学士の学位を有する者、または学位規則第二条の二の表に規定する専門職大学を卒業した者に授与する学位(外国OK)を有する者
二 前号の者に準ずる能力を有すると認められる者

第五章 収容定員
(収容定員)
収容定員は、学科又は課程を単位とし、学部ごとに学則で定めてね。昼夜開講制や外国に置かれる学部、編入学についても収容定員を明示してね。収容定員は、教員組織、校地、校舎等の施設、設備その他の教育上の諸条件を総合的に考慮して定めてね。大学は、在学する学生の数は収容定員に対して多すぎても少なすぎでも駄目だよ。収容定員に基づき適正に管理してね。

第六章 教育課程
(教育課程の編成方針)
大学は、教育するために必要な授業科目を自ら開設し、体系的に教育課程を編成してね(外注任せはだめだよ)。教育課程の編成にあたって、大学は、専門の学芸を教えて、幅広く深い教養及び総合的な判断力を育てて、豊かな人間性が育つよう適切に配慮しないと駄目だよ。
(教育課程の編成方法)
教育課程は、各授業科目を必修科目、選択科目及び自由科目に分け、これを各年次に配当して編成してね。
(単位)
各授業科目の単位数は、大学が定めてね。単位数を定めるにあたり、一単位の授業科目は45時間を標準としてね。そして授業の方法に応じて、教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、以下の基準により単位数を計算してね。
一 講義及び演習は、一単位15時間~30時間の授業(大学が15~30の間で定める)。
二 実験、実習及び実技は、一単位30時間~45時間(大学が30~45の間で定める)。ただし、芸術等の分野における個人指導による実技の授業については、一単位の時間は大学が定めていいよ。
三 方法の併用により行う授業科目は、その組み合わせに応じ、前二号(一と二のこと)に規定する基準を考慮して大学が定める時間の授業をもつて一単位とする(方法の併用とは、講義、演習、実験、実習又は実技のうち二以上の方法のこと)。

以上の規定にかかわらず、卒業論文、卒業研究、卒業制作等の授業科目については、これらの学修の成果を評価して単位を授与することが適切と認められる場合には、これらに必要な学修等を考慮して、単位数を定めることができる。
(一年間の授業期間)
一年間の授業を行う期間は、定期試験等の期間を含め、原則35週とするよ。
(各授業科目の授業期間)
各授業科目の授業は、10週または15週にわたる期間を単位として行うよ。例外はあるよ。(教育上必要があり、かつ、十分な教育効果をあげることができると認められる場合)
(授業を行う学生数)
授業を行う時の学生数は、個別指導が必要なのに大教室でやるとかはダメだよ。授業の方法及び施設、設備その他の教育上の諸条件を考慮して、教育効果を十分にあげられるような適当な人数とするものとしてね。
(授業の方法)
授業は「講義、演習、実験、実習若しくは実技のいずれか、またはこれらの併用」により行ってね。大学は、文部科学大臣が別に定めるところにより、授業を、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させていいよ。外国で履修させてもいいよ。外国で教室以外の場所で多様なメディアを高度に利用して履修させてもいいよ。大学は、文部科学大臣が別に定めるところにより、授業の一部を、校舎及び附属施設以外の場所で行うことができるよ。
(成績評価基準等の明示等)
大学は、学生に対して、授業の方法及び内容並びに一年間の授業の計画(いわゆるシラバス)をあらかじめ明示してね。大学は、学生に対して成績評価や卒業認定の基準をあらかじめ明示するとともに、その基準に従って適切に行ってね。
(教育内容等の改善のための組織的な研修等)
大学は、授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究を実施するものとする(Faculty Development研修のこと)。
(昼夜開講制)
大学は、教育上必要と認められる場合には、昼夜開講制(同一学部において昼間及び夜間の双方の時間帯において授業を行うことをいう。)により授業を行っていいよ。

第七章 卒業の要件等
(単位の授与)
大学は、試験により授業科目の単位を与えるよ。「方法の併用の授業科目」については、大学の定める適切な方法により学修の成果を評価して単位を与えられるよ。
(履修科目の登録の上限)
大学は、学生が毎年バランスよく授業科目を履修するため、卒業の要件として学生が修得すべき単位数について、学生が一年間又は一学期に履修科目として登録することができる単位数の上限を定めるよう努めてね。大学は、優れた成績の学生については、先ほど記載した上限を超えて履修科目の登録を認めるよ。
(他の大学又は短期大学における授業科目の履修等)
大学は、教育上有益と認めるときは、学生が他大学で修得した単位を、六十単位を超えない範囲で自大学における授業科目の履修により修得したものとみなすことができるよ。
これは学生が、留学する時も準用するよ。<条件は…外国の大学又は短期大学が行う通信教育における授業科目を我が国において履修する場合及び外国の大学又は短期大学の教育課程を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられた教育施設であつて、文部科学大臣が別に指定するものの当該教育課程における授業科目を我が国において履修する場合。>
(大学以外の教育施設等における学修)
大学は、教育上有益と認めるときは、学生が行う学修(短期大学又は高等専門学校の専攻科における学修その他文部科学大臣が別に定めるもの)を自大学における授業科目の履修とみなし、六十単位を超えない分まで自大学の単位として認めるよう定めることが出来るよ。
(入学前の既修得単位等の認定)
大学は、教育上有益と認めるときは、学生が自大学に入学する前に他大学で修得した単位を、自大学における授業科目の履修とみなし、六十単位を超えない分まで自大学の単位として認めるよう定めることが出来るよ。編入学、転学は除くよ。
(長期にわたる教育課程の履修)
大学は、社会人学生等から「修業年限を超えて一定の期間にわたり計画的に教育課程を履修し卒業することを希望したい」と申し出があったときは、その計画的な履修を認めることができる、と定めていいよ。
(科目等履修生等)
科目等履修生とは、自大学の学生以外の者で一又は複数の授業科目を履修する者のことを言う。大学は科目等履修生に対し、単位を与えることができるよ。科目等履修生が多くなる場合は校地の面積や授業教室の広さについて適切に管理してね。科目等履修生の単位授与の方法は、試験や、大学が定める適切な方法で評価してね。
(卒業の要件)
第三十二条 卒業の要件は、大学に4年以上在学し、124単位以上を修得してね。医学、歯学科の卒業要件は、大学に6年以上在学し、188単位以上を修得してね(例外もあるけど)。薬学科6年課程の卒業要件は、大学に6年以上在学し、186単位以上を修得してね。そのうち20単位以上は「薬学実務実習」を修得してね。(薬学実務実習…将来の薬剤師としての実務に必要な薬学に関する臨床に係る実践的な能力を培うことを目的として大学の附属病院その他の病院及び薬局で行う実習のこと)。獣医学科の卒業要件は、大学に6年以上在学し、182単位以上を修得してね。ここに挙げた4年制学科と医歯薬獣医学科、および専門職学科は、編入学等の単位取得60単位未満適用ルールを守ってね。
(授業時間制をとる場合の特例)※特例につき解説は省略します
第三十三条 前条第二項ただし書により授業時間の履修をもつて単位の修得に代える授業科目に係る第二十一条第一項又は第二十七条の規定の適用については、第二十一条第一項中「単位数」とあるのは「授業時間数」と、第二十七条中「一の授業科目」とあるのは「授業科目」と、「単位を与えるものとする」とあるのは「修了を認定するものとする」とする。
2 授業時間数を定めた授業科目については、当該授業科目の授業時間数をこれに相当する単位数とみなして第二十八条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第二十九条第一項又は第三十条第一項若しくは第二項の規定を適用することができる。

第八章 校地、校舎等の施設及び設備等
(校地)
第三十四条 校地は、教育にふさわしい環境をもち、校舎の敷地には、学生が休息その他に利用するのに適当な空地を有するものとしてね。空地がないときは開放的で学生が余裕をもって休息できる設備を持つことにしてね。
(運動場)
第三十五条 運動場は、教育に支障のないよう、原則として校舎と同一の敷地内又はその隣接地に作ってね。運動場を作る土地がないときは、体育館(スポーツ施設)は運動場と同等の機能を持つものにしてね。学生から多額の利用料を取ってはいけないよ。
(校舎等施設)※原文ママ
第三十六条 大学は、その組織及び規模に応じ、少なくとも次に掲げる専用の施設を備えた校舎を有するものとする。ただし、特別の事情があり、かつ、教育研究に支障がないと認められるときは、この限りでない。
一 学長室、会議室、事務室
二 研究室、教室(講義室、演習室、実験・実習室等とする。)
三 図書館、医務室、学生自習室、学生控室
2 研究室は、専任の教員に対しては必ず備えるものとする。
3 教室は、学科又は課程に応じ、必要な種類と数を備えるものとする。
4 校舎には、第一項に掲げる施設のほか、なるべく情報処理及び語学の学習のための施設を備えるものとする。
5 大学は、校舎のほか、原則として体育館を備えるとともに、なるべく体育館以外のスポーツ施設及び講堂並びに寄宿舎、課外活動施設その他の厚生補導に関する施設を備えるものとする。
6 夜間において授業を行う学部(以下「夜間学部」という。)を置く大学又は昼夜開講制を実施する大学にあつては、研究室、教室、図書館その他の施設の利用について、教育研究に支障のないようにするものとする。
(校舎の面積)※原文ママ
第三十七条の二 校舎の面積は、一個の学部のみを置く大学にあつては、別表第三イ(1)若しくは(2)又はロの表に定める面積以上とし、複数の学部を置く大学にあつては、当該複数の学部のうち同表に定める面積が最大である学部についての同表に定める面積に当該学部以外の学部についてのそれぞれ別表第三ロ又はハ(1)若しくは(2)の表に定める面積を合計した面積を加えた面積以上とする。
第三十七条の二 校舎の面積は、一個の学部のみを置く大学にあつては、別表第三イ(1)若しくは(2)又はロの表に定める面積(共同学科を置く場合にあつては、当該学部における共同学科以外の学科を一の学部とみなして同表を適用して得られる面積に第四十八条第一項の規定により得られる当該共同学科に係る面積を加えた面積)以上とし、複数の学部を置く大学にあつては、当該複数の学部のうち同表に定める面積(共同学科を置く学部については、当該学部における共同学科以外の学科を一の学部とみなして同表を適用して得られる面積)が最大である学部についての同表に定める面積(共同学科を置く学部については、当該学部における共同学科以外の学科を一の学部とみなして同表を適用して得られる面積)に当該学部以外の学部についてのそれぞれ別表第三ロ又はハ(1)若しくは(2)の表に定める面積(共同学科を置く学部については、当該学部における共同学科以外の学科を一の学部とみなして同表を適用して得られる面積)を合計した面積を加えた面積(共同学科を置く場合にあつては、第四十八条第一項の規定により得られる当該学科に係る面積を加えた面積)以上とする。

(図書等の資料及び図書館)※原文ママ
第三十八条 大学は、学部の種類、規模等に応じ、図書、学術雑誌、視聴覚資料その他の教育研究上必要な資料を、図書館を中心に系統的に備えるものとする。
2 図書館は、前項の資料の収集、整理及び提供を行うほか、情報の処理及び提供のシステムを整備して学術情報の提供に努めるとともに、前項の資料の提供に関し、他の大学の図書館等との協力に努めるものとする。
3 図書館には、その機能を十分に発揮させるために必要な専門的職員その他の専任の職員を置くものとする。
4 図書館には、大学の教育研究を促進できるような適当な規模の閲覧室、レフアレンス・ルーム、整理室、書庫等を備えるものとする。
5 前項の閲覧室には、学生の学習及び教員の教育研究のために十分な数の座席を備えるものとする。

(附属施設)

第三十九条 大学は学部学科により、附属施設を置かないと駄目だよ。以下対応表。

教員養成に関する学部又は学科 附属学校又は附属幼保連携型認定こども園
医学又は歯学に関する学部 附属病院
農学に関する学部 農場
林学に関する学科 演習林
獣医学に関する学部又は学科 家畜病院
畜産学に関する学部又は学科 飼育場又は牧場
水産学又は商船に関する学部 練習船(共同利用による場合を含む。)
水産増殖に関する学科 養殖施設
薬学に関する学部又は学科 薬用植物園(薬草園)
体育に関する学部又は学科 体育館

工学に関する学部を置く大学には、原則として実験・実習工場を置いてね。

(薬学実務実習に必要な施設)

第三十九条の二 6年制課程の薬学部を持つ大学は、薬学実務実習に必要な施設を確保してね。

(機械、器具等)

第四十条 大学は、学部又は学科の種類、教員数及び学生数に応じて必要な種類及び数の機械、器具及び標本を備えるものとする。

(二以上の校地において教育研究を行う場合における施設及び設備)

第四十条の二 大学は、二つ以上のキャンパスで教育研究を行う場合においては、それぞれの校地ごとに教育研究に支障のないよう必要な施設及び設備を備えてね。

(教育研究環境の整備)

第四十条の三 大学は、その教育研究上の目的を達成するため、必要な経費の確保等により、教育研究にふさわしい環境の整備に努めないといけないよ。

(大学等の名称)

第四十条の四 大学の名称は、大学として適当であるとともに、教育研究上の目的にふさわしいものとしてね。

 

第九章 事務組織等

(事務組織)

第四十一条 大学は、事務専任の職員を置く事務組織を置いてね。

(厚生補導の組織)

第四十二条 大学は、学生の厚生補導を行うため、専任の職員を置く組織を置いてね。

(社会的及び職業的自立を図るために必要な能力を培うための体制)※原文ママ

第四十二条の二 大学は、当該大学及び学部等の教育上の目的に応じ、学生が卒業後自らの資質を向上させ、社会的及び職業的自立を図るために必要な能力を、教育課程の実施及び厚生補導を通じて培うことができるよう、大学内の組織間の有機的な連携を図り、適切な体制を整えるものとする。

(研修の機会等)

第四十二条の三 大学は、当該大学の教育研究活動等の適切かつ効果的な運営を図るため、事務職員に必要な知識及び技能を習得させ、並びにその能力及び資質を向上させるための研修の機会を設けて取り組んでね(Staff Development研修のこと)。

 

第九章の二 学部等連係課程実施基本組織に関する特例

(学部等連係課程実施基本組織)

2019年8月に公布施行された学位プログラム制度です。別記事にて詳細をお話しします。

 

第十章 専門職学科に関する特例

専門職学科を持つ大学は2020年4月現在3例程度なので、本記事では解説しません。別の記事でお話しします。

 

第十一章 共同教育課程に関する特例

大学間で共同して学生に教育を行える制度が追加されています。共同教育と呼んでいます。共同教育を提供するにあたっての条件が書かれています。詳細は別記事でお話しします。

 

第十二章 工学に関する学部の教育課程等に関する特例

工学部系は、一つの分野にのみ特化して教育するのではなく、教育の連続性に配慮して課程を編成してね、という内容の章立てです。詳細については別記事でお話しします。

 

第十三章 国際連携学科に関する特例

海外を含む複数の大学が共同で単一の学位を授与するプログラムを提供できるように、整備された省令の章立てです。海外連係での教育を提供するにあたっての条件が書かれています。詳細は別記事でお話しします。

 

第十四章 雑則

(外国に設ける組織)

第五十七条 大学は、外国に学部等を設置していいよ。

(学校教育法第百三条に定める大学についての適用除外)

第五十八条 大学院のみを置く大学は、この設置基準に書いてある校地環境、運動場、情報処理施設、体育館、校地面積、校舎面積、についての最低条件を満たさなくていいよ。

___

学校教育法103条

第百三条 教育研究上特別の必要がある場合においては、第八十五条の規定にかかわらず、学部を置くことなく大学院を置くものを大学とすることができる。

 

学校教育法85条

第八十五条 大学には、学部を置くことを常例とする。ただし、当該大学の教育研究上の目的を達成するため有益かつ適切である場合においては、学部以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができる。

___

(その他の基準)

第五十九条 大学院その他に関する基準は、別に定めますね。

(段階的整備)

第六十条 新たに大学等を設置する時は、校舎等の施設及び設備については、一年目からすべて整えるのではなくて、段階的に整備することにしていいよ。

本編は以上です。以下より、附則と別表の解説をします。

附則

簡単に言うと、「アップデート情報」です。関連する法律が改正したり、新たな制度が出来たりすると、大学設置基準も変えなきゃいけない文言が発生します。その際に都度省令を公布し、変遷を明記しています。さらっと覚えておいてください。

 

具体的にどんなアップデートがあったか

・医学部の定員増加の際の校地校舎面積ルールを規定

・薬学6年課程の移行について規定

・助教授から准教授へ名称変更

・国際連携学科、学部等連係課程実施基本組織における医・歯学部等の制限

 

別表第一 学部の種類及び規模に応じ定める専任教員数(第十三条関係)

イ 医学又は歯学に関する学部以外の学部に係る専任教員数

(1) 専門職学科以外の学科に係るもの

学部の種類 一学科で組織する場合の専任教員数 二以上の学科(専門職学科を含む。)で組織する場合の一学科の収容定員並びに専任教員数
収容定員 専任教員数 収容定員 専任教員数
文学関係 320-600 10 200-400 6
教育学・保育学関係 320―600 10 200―400 6
法学関係 400―800 14 400―600 10
経済学関係 400―800 14 400―600 10
社会学・社会福祉学関係 400―800 14 400―600 10
理学関係 200―400 14  160―320 8
工学関係 200―400 14  160―320 8
農学関係 200―400 14  160―320 8
獣医学関係 300―600 28 240―480 16
薬学6年課程 300―600 28 240―360 16
薬学4年課程 200―400 14 160―240 8
家政関係 200―400 10 160―240 6
美術関係 200―400 10 160―240 6
音楽関係 200―400 10 160―240 6
体育関係 200―400 12 160―320 8
保健衛生学関係(看護学関係) 200―400 12
保健衛生学関係(看護学関係を除く。) 200―400 14 160―320 8

 

備考

一 半数以上は原則として教授としてね((2)の表及び別表第二において同じ。)。

二 授業を担当しない教員を含まないでね((2)及びロの表並びに別表第二において同じ。)。

三 満たない場合の専任教員数は、その20%の範囲内において兼任の教員でもOKだよ((2)の表及び別表第二において同じ。)。

四 大きな大学で収容定員が表の数を超える場合は、400人につき教員3人の割合で増やしていってね。獣医、薬学6年課程は600人につき6人の割合で増やしてね。(ロの表において同じ。)。

五 夜間学部が同じ種類の昼間学部と同一の施設等を使用する場合の教員数は、この表に定める教員数の3分の1以上としてね。夜と昼を比べて夜の方が多い場合は、この項目について「夜間と昼間をさかさまにして読み替え」をお願いします。((2)の表及び別表第二において同じ。)。

六 昼夜開講制を実施する場合は、教員数を減ずることができるよ。ただし、収容定員、履修方法、授業の開設状況等を考慮して、教育に支障のない限りでね。((2)の表及び別表第二において同じ。)。

七 2学科以上ある場合は、表の右側にある最低人数を足して、学部の最低人数としてね。

八 2学科以上あり獣医学の学科が含まれるときも、表の右側にある最低人数を足して、学部の最低人数としてね。

九 薬学6年課程の学科を含む複数学科の学部のときは右の欄中「16」を、「22」として最低人数を計算してね。

十 薬学6年課程の学科の専任教員のうちには、薬剤師の実務経験者を含んでね。

十一 この表に掲げる学部以外の学部に係る教員数については、当該学部に類似するこの表に掲げる学部を参考にしてね。教員養成の学科は、適切に教員を配置してね。

十二 学部等連係課程実施基本組織における教員数は、当該学部等連係課程実施基本組織を一学科で組織する学部とみなしてこの表の中欄から算出される教員数とする。

(2) 専門職学科に係るもの

本記事では省略します。

ロ 医学又は歯学に関する学部に係る専任教員数

収容定員 360人まで 480人まで 600人まで 720人まで 840人まで 960人まで
学部の種類
医学関係 130 140 140 140
歯学関係 75 85 92 99 106 113

備考

一 医学の教授、准教授又は講師の合計は60人以上とし、そのうち30人以上は教授としてね。

二 歯学の教授、准教授又は講師の合計は36人以上とし、そのうち18人以上は教授としてね。

三 附属病院における教育、研究及び診療に主として従事する相当数の専任教員を別に置いてね。

 医歯学を含む複数の学科で構成される学部は、この表と別表第一のイの教員数を足して、合計を最低人数としてね。

別表第二 大学全体の収容定員に応じ定める専任教員数(第十三条関係)

大学全体の収容定員 四〇〇人 八〇〇人
専任教員数 一二

備考

一 別表第一で定めた最低人数と合算します。医学又は歯学に関する学部は除くよ。

二 20%の範囲内において兼任の教員に代えていいよ。

三 収容定員がこの表を超える場合は、収容定員が400人-800人の場合は80人につき教員1人増やしてね。800人を超える場合は、400人につき教員3人増やしてね。

四 医学又は歯学に関する学部を置く場合、当該学部の収容定員が480人の場合では7人、720人の場合では8人を加えてね。ただし、当該学部の収容定員が480人未満の場合には、その加える数を6人にしていいよ。

五 医学又は歯学に関する学部を置く場合で当該学部に医学又は歯学に関する学科以外の学科を置く場合においては、当該医学又は歯学に関する学科については前号により算出される教員数とし、当該医学又は歯学に関する学科以外の学科についてはその収容定員と他の学部の収容定員の合計数から第一号により算出される教員数とする。

 

別表第三 学部の種類に応じ定める校舎の面積(第三十七条の二関係)

校地面積、校舎面積についての表です。本記事では原文を一部加工(漢数字を算用数字に)するのみとし、新しい学部を作ったり改組したりする業務にかかわることになっている方は、専門書を参考にすることをお勧めします。

イ 医学又は歯学に関する学部以外の学部に係る基準校舎面積

(1) 専門職学部以外の学部に係る基準校舎面積

収容定員 200人までの場合の面積(㎡) 400人まで 800人まで 801人以上
学部の種類
文学関係 2,644 (収容定員-200)×661÷200+2,644 (収容定員-400)×1,653÷400+3,305 (収容定員-800)×1,322÷400+4,958
教育学・保育学関係 2,644 (収容定員-200)×661÷200+2,644 (収容定員-400)×1,653÷400+3,305 (収容定員-800)×1,322÷400+4,958
法学関係 2,644 (収容定員-200)×661÷200+2,644 (収容定員-400)×1,653÷400+3,305 (収容定員-800)×1,322÷400+4,958
経済学関係 2,644 (収容定員-200)×661÷200+2,644 (収容定員-400)×1,653÷400+3,305 (収容定員-800)×1,322÷400+4,958
社会学・社会福祉学関係 2,644 (収容定員-200)×661÷200+2,644 (収容定員-400)×1,653÷400+3,305 (収容定員-800)×1,322÷400+4,958
理学関係 4,628 (収容定員-200)×1,157÷200+4,628 (収容定員-400)×3,140÷400+5,785 (収容定員-800)×3,140÷400+8,925
工学関係 5,289 (収容定員-200)×1,322÷200+5,289 (収容定員-400)×4,628÷400+6,611 (収容定員-800)×4,628÷400+11,239
農学関係 5,024 (収容定員-200)×1,256÷200+5,024 (収容定員-400)×4,629÷400+6,280 (収容定員-800)×4,629÷400+10,909
獣医学関係 5,024 (収容定員-200)×1,256÷200+5,024 (収容定員-400)×4,629÷400+6,280 (収容定員-800)×4,629÷400+10,909
薬学関係 4,628 (収容定員-200)×1,157÷200+4,628 (収容定員-400)×1,983÷400+5,785 (収容定員-800)×1,983÷400+7,768
家政関係 3,966 (収容定員-200)×992÷200+3,966 (収容定員-400)×1,984÷400+4,958 (収容定員-800)×1,984÷400+6,942
美術関係 3,834 (収容定員-200)×959÷200+3,834 (収容定員-400)×3,140÷400+4,793 (収容定員-800)×3,140÷400+7,933
音楽関係 3,438 (収容定員-200)×859÷200+3,438 (収容定員-400)×2,975÷400+4,297 (収容定員-800)×2,975÷400+7,272
体育関係 3,438 (収容定員-200)×859÷200+3,438 (収容定員-400)×1,983÷400+4,297 (収容定員-800)×1,983÷400+6,280
保健衛生学関係(看護学関係) 3,966 (収容定員-200)×992÷200+3,966 (収容定員-400)×1,984÷400+4,958 (収容定員-800)×1,984÷400+6,942
保健衛生学関係(看護学関係を除く。) 4,628 (収容定員-200)×1,157÷200+4,628 (収容定員-400)×3,140÷400+5,785 (収容定員-800)×3,140÷400+8,925

備考

一 この表に掲げる面積には、第三十六条第五項の施設、第三十九条の附属施設及び第三十九条の二の薬学実務実習に必要な施設の面積は含まない(ロ及びハ(1)の表において同じ。)。

二 夜間学部(同じ種類の昼間学部と同一の施設等を使用するものを除く。)における面積については、この表に掲げる学部の例によるものとする((2)並びにハ(1)及び(2)の表において同じ。)。

三 夜間学部が同じ種類の昼間学部と同一の施設等を使用する場合は、夜間学部又は昼間学部の収容定員のいずれか多い数によりこの表に定める面積とする((2)並びにハ(1)及び(2)の表において同じ。)。

四 昼夜開講制を実施する場合においては、これに係る収容定員、履修方法、授業の開設状況等を考慮して、教育に支障のない限度において、この表に定める面積を減ずることができる((2)並びにハ(1)及び(2)において同じ。)。

五 この表に掲げる学部以外の学部における面積については、当該学部に類似するこの表に掲げる学部の例によるものとする((2)の表において同じ。)。

六 この表に定める面積は、専用部分の面積とする。ただし、当該大学と他の学校、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園、専修学校又は各種学校(以下この号において「学校等」という。)が同一の敷地内又は隣接地に所在する場合であつて、それぞれの学校等の校舎の専用部分の面積及び共用部分の面積を合算した面積が、それぞれの学校等が設置の認可を受ける場合において基準となる校舎の面積を合算した面積以上のものであるときは、当該大学の教育研究に支障がない限度において、この表に定める面積に当該学校等との共用部分の面積を含めることができる((2)、ロ並びにハ(1)及び(2)の表において同じ。)。

(2) 専門職学部に係る基準校舎面積

この記事では省略します。

ロ 医学又は歯学に関する学部に係る校舎の面積

収容定員 収容定員360人までの場合の面積(㎡) 480人までの場合 600人までの場合 720人までの場合 840人までの場合 960人までの場合
区分
学部の種類
医学関係 校舎 12,650  14,300 16,750 18,250
附属病院 28,050 31,100 33,100 35,100
歯学関係 校舎 8,850 9,600 10,350 11,200 11,950 13,100
附属病院 5,700 5,800 5,900 6,000 6,100 6,200

備考 この表に定める面積は、医学又は歯学に関する学科のみを置く場合に係る面積とし、その他の学科を置く場合に係る面積については、医学又は歯学に関する学科についてこの表に定める面積と当該医学又は歯学に関する学科以外の学科についてイ(1)又は(2)の表に定める面積の合計とする。

ハ 医学又は歯学に関する学部以外の学部に係る加算校舎面積

(1) 専門職学部以外の学部に係る加算校舎面積

収容定員 200人までの面積(㎡) 400人までの面積 600人までの面積 800人までの面積 1,000人までの面積 1,200人までの面積 1,400人までの面積 1,600人までの面積 1,800人までの面積 2,000人までの面積
学部の種類
文学関係 1,719 2,148 2,975 3,801 4,462 5,123 5,785 6,446 7,107 7,768
教育学・保育学関係 1,719 2,148 2,975 3,801 4,462 5,123 5,785 6,446 7,107 7,768
法学関係 1,719 2,148 2,975 3,801 4,462 5,123 5,785 6,446 7,107 7,768
経済学関係 1,719 2,148 2,975 3,801 4,462 5,123 5,785 6,446 7,107 7,768
社会学・社会福祉学関係 1,719 2,148 2,975 3,801 4,462 5,123 5,785 6,446 7,107 7,768
理学関係 3,173 3,966 5,619 7,107 8,760 10,247 11,734 13,221 14,708 16,195
工学関係 3,834 4,793 7,107 9,421 11,735 14,049 16,363 18,677 20,991 23,305
農学関係 3,636 4,628 6,942 9,256 11,570 13,884 16,198 18,512 20,826 23,140
獣医学関係 3,636 4,628 6,942 9,256 11,570 13,884 16,198 18,512 20,826 23,140
薬学関係 3,305 4,132 5,123 6,115 7,107 8,099 9,091 10,083 11,075 12,067
家政関係 2,512 3,140 4,132 5,123 6,115 7,107 8,099 9,091 10,083 11,075
美術関係 2,644 3,305 4,958 6,611 8,099 9,586 11,073 12,560 14,047 15,534
音楽関係 2,512 3,140 4,628 6,280 7,603 9,090 10,577 12,064 13,551 15,038
体育関係 2,776 3,471 4,462 5,445 6,446 7,768 9,090 10,412 11,734 13,056
保健衛生学関係(看護学関係) 2,512 3,140 4,628 5,123 6,115 7,107 8,099 9,091 10,083 11,075
保健衛生学関係(看護学関係を除く。) 3,173 3,966 5,619 7,107 8,760 10,247 11,734 13,221 14,708 16,195

備考 収容定員が二、〇〇〇人を超える場合は、二〇〇人を増すごとに、この表に定める二、〇〇〇人までの面積から一、八〇〇人までの面積を減じて算出される数を加算するものとする((2)の表において同じ。)。

 

(2) 専門職学部に係る加算校舎面積

この記事では省略します。

 

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