大学の入試について

大学の入試について

こんにちは、きっかわです。この記事では現役大学職員が、入試について説明します。

 

入試制度を作る際にルールはあるのでしょうか。調べてみると、大学設置基準に以下の記載がありました。

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(入学者選抜)

第二条の二 入学者の選抜は、公正かつ妥当な方法により、適切な体制を整えて行うものとする。

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これさえ守ればいいという事で、大学の裁量が多く、多様な入試形態を企画することが可能です。

 

20世紀生まれの方は推薦入試、前後期入試、センター利用入試といった形態があることを思い出すのではないでしょうか。1990年前後生まれの方だと、AO入試というのもありましたね。

 

この業界にいるとよく言われるのが、「時代は変化している。教育も変化していかなければならない」という言葉です。暗記・詰め込み型の勉強から、考察・議論型の勉強へシフトしよう、という風潮があります。

 

確かに考察・議論型の勉強は、私自身が高校生の時には多くは教わりませんでした。でも、「だから暗記型の勉強は無意味だった」ということでは絶対ないです。暗記:考察=10:0はダメだけど、0:10もダメだと思っています。

 

入試で考察型の試験を課すのはとても難しいです。今でさえ、問題作って、採点して、照合して…とものすごい労力をかけています。人海戦術です。これに加えて「コミュニケーション」や「ボランティアなどの生活の功績」を受験生に課すのでしょうか。大学に合否を判定させるのでしょうか。定性的なものを加えるのはリスクが伴います。政治ひとつで恣意的に入学者をコントロールできてしまいます。

 

個人的には、大学入ってから考察や議論の積み重ねをしていく方が、高校までの勉強で培った暗記型の知識をフル活用できると思うのですが…それだと世界と比べると遅れているという考えを文科省が持っているのでしょう。それも一理あると思いますが…ここは答えがありません。本当に難しいです。

 

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/103/index.htm#pageLink4

 

ここで有識者会議が行われているので、定期的に確認しながら、政策決定の流れに身を任せましょう。決まったことには逆らえません。職員の皆様、力を蓄えましょう。

 

ちなみに英語試験の民間企業活用については、お察しです。世論が僕の気持ちを代弁してくれているので、ネガティブなことは書かないでおきます。

 

2010年代から文科省では「大学が多様な人材を確保するための努力をしているか」とチェックする風潮が強まっています。文科省からは「多様な入試形態を整備していますか」と補助金加算項目で質問されることがあり、充実した入試制度の整備は補助額が加算されることもあります。

 

大学は学生が学ぶ場所と教育サービスを提供することに注力し、常に学生と向き合うことを継続していくのが、正しい姿かなと考えます。

 

大学個別の入試制度事例については、別の記事で紹介します。

 

まとめ

・入試形態は大学の裁量が大きい。

・教育も時代の変化に合わせて変わらなければならないが、暗記・詰め込み型の勉強を軽視してはいけない。

・入試制度は多角的な視点が必要。答えはひとつではない。

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