大学組織の二重構造について

大学組織の二重構造について

こんにちは、きっかわです。この記事では現役私立大学職員が、大学の二重構造についてお話しします。

大学業界では、大学に勤めている人のことを「職員」と呼びます。教員のことを「教育職員」と呼んで事務職員と区別することが多いです。私は私立大学=学校法人の事務職員なので、法人における最高位の合意形成の場である「理事会」での方針をもとに、業務を遂行しています。こちらのトップは理事長です。法人の長です。

私立学校法第36条は、「学校法人に理事をもつて組織する理事会を置く。理事会は、学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督する」と規定しています。大事なことは理事会で決めようね、ってことです。似た組織で「評議員会」というのもありますが、ここでは省略します。

教育職員は理事会とは別の合意形成ピラミッドがあり、教育職員における最高位の合意形成の場である「教授会」が存在します。主に教育に関わること(成績とかカリキュラムとか)を議論します。学部が複数あると、「学部長会」というのも存在します。こちらのトップは学長です。大学の長です。

学校教育法第93条は、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定しています。

私の大学では、教授会で決定したことが、さらに理事会でも審議されます。理事会は「シャンシャン」なので議案が否決されることはありませんが、理事からしてみれば「ようわからんが教授会の決定通りにしとけばワシの責任にはならんだろう」ということで、素通りで決まります。

この構造には問題があります。一見、分権が進んでいるように見えますが、経営者が教育内容に関与しないため「分断」が発生します。さらに大学で学部が増えていくと、学部ごとの教授会で物事が決まっていくため、大学トップである学長の目が届かぬところで、ひっくり返すことが出来ないような内容で議案提出となることがあります。大学業界界隈で「学長のリーダーシップ強化が必要」なんて言われているのは、学部の意思決定に学長が深く介入できない決裁ルートが理由です。

少し話はそれますが、学校法人は会社での株主総会のようなステークホルダーへの説明の場がありません。学生の親は、教育サービスの対価を支払っている「消費者」であると同時に、子どもの高等教育を各学校法人に信託している「出資者」でもあると個人的には考えています。出張保護者懇談会を開催している大学も多いですが、説明責任を果たしているかと言われると、少なくとも自分の大学では説明として弱いです。大学の姿勢としては消極的な情報開示が多いので、自分含む若手職員が大学経営の文化をアップデートできれば、より良い社会になっていくのではないかな、と日々考えております。

まとめ

・大学には法人の理事会、教員の教授会、2つの意思決定の場があり二重構造である

・二重構造は分断を生んでいる

・消極的な情報開示をしている大学が多い

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